水中ロボコンの競技について【部門解説編】

こんにちは。

無事に水中ロボコンの開催も決まりましたので、不定期ではありますが記事の更新や改造情報の公開などをしていきたいと思います。

※あくまで私見をもとにしたものです。運営中の人でありますがこれはあくまで私見ですのでそこに誤解のないようにお願いします。

しかし、”そもそも水中ロボコンって何よ?”という人も多いと思います。

水中ロボコンは水中ロボットコンベンションの略で、いくつかの部門によって構成されるロボコンです。

国内では3つの大会が例年開かれます。

水中で行われるロボコンは例年、3箇所で大会が開かれています。
JAMSTEC大会、神戸大会、沖縄大会です。
JAMSTECと神戸の大会はNPOが主催者側で、沖縄大会については協力する形です。

引用:今年の水中ロボコンについて

詳しくは前記事「今年の水中ロボコンについて」をご覧ください。

ロボコンはいくつかの部門で構成されていますが、これらの部門は水中ロボット研究との関係性から生まれています。

なのでロボコン競技の説明しようとすると、”水中ロボット”とは?といったような内容から始めざるをえません。

そこで、本記事ではまず水中ロボットの分類などを解説しながら水中ロボコンの競技について触れていきたいと思います。

各部門での技術的なトレンドなどについては次回以降の記事にすすめたいと思います。

さて、水中ロボコンの競技は今はなくなった競技を含めて下の4つになります。

  • AUV部門
  • ROV部門(今はない)
  • フリースタイル部門
  • ジュニア部門

これらは大まかに水中ロボットのジャンルに沿った内容になっています。

AUV部門

AUV部門は現在積極的に研究が行われているAUV(Autonomous Underwater Vehicle)と呼ばれるジャンルの機体をもとにしています。

AUVは水中に潜ると自律的に任務の遂行を行うことが最も大きな特徴です。

そもそも現在の無線技術を用いれば遠隔操作が可能ではないかと考える人もいるかもしれませんが、水中においては電波の減衰率が非常に高いことから通信を行う場合は音波が主流です。

音波の通信速度は電波と比べればはるかに遅くなるため、緊急対応には向きません。(映像の伝送なども基本的には無理です)

よって、コントロール用のケーブルを付けてレスポンスをあげるか、自律性が必要であるということが基本的な考え方になります。

NPO日本水中ロボネットのHPでは下記のように説明しています。

作業内容をあらかじめプログラミングしておくことで、緊急事態以外は人間が外部からコントロールすることなく、自らの判断で行動するタイプの水中ロボットです。超音波測深器やスチルカメラを搭載し、海底地形の調査や機雷の除去作業などに利用されています。ROVのようなケーブルがないので、行動範囲に制限を受けることはありませんが、電源は内蔵バッテリーなので行動時間が制限されます。

引用:日本水中ロボネット~水中ロボットの基礎知識~

AUV部門ではこれらを目した競技として、ライントレースやゲートくぐり、ブイタッチ、ランディングなどといったものがあります。

例えばライントレースはパイプラインのパイプであるとか、ランディングは基地への帰投などといった内容を模擬しているというわけです。

この部門に参加する多くの機体が9軸センサとカメラによる画像処理、水圧センサによる深度制御をメインにしたロボットを作成してきます。

詳細な技術トレンドについては次回以降で解説できればと思います。

手前味噌ですが、自分が参加したときの記録動画を貼り付けます。2018/3/4追記

 

ROV部門

ROV(Remotely operated vehicle)は先の通信の問題を、有線によって操縦するという解決手段をとった機体です。

このケーブルはテザーケーブルと呼ばれ、電源供給を兼ねるものもあります。

主な役割は観測や沈んだものの回収などです。

アンビリカルケーブルと呼ばれる通信、電力供給用のケーブルを介して、人間が母船上から操縦するタイプの水中ロボットです。水中カメラからの映像をリアルタイムで見ることができるので、生物調査や海底油田の作業ロボットなどに利用されています。電力が母船から供給されるので、行動時間に制限を受けることはありませんが、ケーブルは海中で大きな抵抗となるので、母船からあまり遠く離れて行動することはできません。

引用:日本水中ロボネット~水中ロボットの基礎知識~

よって、ROV部門の協議では規定のコースを移動、課題をクリアすることによる得点とタイムアタックをセットにした競技でした。

この部門の機体は操縦技術によって制御面をカバーできることから、よりハード面を中心にした機体開発を行ってくるチームが多いです。

(ROVは最近は開催されていません。)

 

フリー部門

フリー部門はこれらに該当しない機体が参加する部門になります。

一番多いジャンルはバイオミメティック系(例えば魚とか)のロボットになります。

ルールによる縛りが非常に少ないため、初参加には最も向いているジャンルになります。

下記URLからYoutubeで空気感がみられると思います。

Youtube

17年と16年のロボコンHPにも出場ロボットリストがあるので、見てみてください。

水中ロボコン’17フリー部門

水中ロボコン’16フリー部門

 

ジュニア部門

ジュニア部門はROVキットを組み立てて行う中高生向けの競技になります。

機体の詳細は当HPを閲覧いただくとして、競技は以下のような内容になります。

まず、エントリーを済ませると、大会1ヶ月前に水中ロボットキットが無償で提供されます。

参加者は、それを組み立て・改造して大会に臨みます。

競技は缶拾い競争です。制限時間内で如何に多くの缶が回収できるかを競います。

 

さて、なんとなくですが、水中ロボコンのイメージが掴めたでしょうか。

次回からは各部門の技術的な解説を行っていきたいと思います。